勝利の女神様のあしあと

「人生は舞台」、私たちは次の舞台へ。

オタクになった一般人が偏見から脱却するまで。~ラブライブ!編~

皆さん、こんにちはこんばんは。
インフルエンザ流行ってるみたいですね、気を付けてください。
「何か喉がイガイガするなぁ」と思ったらすぐ家に帰って休んでくださいね。私はそこから一気に体調崩れましたから。


さて、この記事は前回に引き続きインフルエンザ療養中で暇を持て余した私の、「オタクとしてのルーツ」を振り返る記事となっています。
人が沼にハマる瞬間って見てて面白いよね、という趣旨のかなり趣味のいいテーマとなっておりますので、どうぞ暇つぶしがてら読んでいってください。

<前回の記事はこちら>



 

 

《オタクの偏見》

さて、前回の記事で書いたように『けいおん!』で見事にアニメオタクとなった私ですが、それから程なくしてそれまで地元・九州で勤めていた仕事を辞めて、上京を果たします。理由は「アニメ関係のことを学ぶため」です。はい、もう立派なこじらせオタクの完成ですね。
私はアニメ関係のことを学べる学校に入り、バイトをしながら東京で生活し始めました。まぁ、自分には才能がないと分かり3年くらいで辞めてしまうのですがね。

上京して良かったことは、「アニメのことを話しても引かれない」「イベントに行きやすい」「グッズが手に入りやすい」ということでした。
あとバイト先になんとあの、憧れの日笠陽子さんが来てくれたこともありました!それも2回も。めっちゃくちゃびっくりして心臓止まるかと思いました。都会ってすげぇ。

そしてやっぱり「イベントに行きやすい」というのは大きかったですね。アニメのイベントって基本都内もしくは関東開催が多いので、これは地方のオタクだった私にとっては本当に夢のようでした。

その頃、よく名前を聞くようになったアニメがありました。ラブライブ!』です。
いえ正確にいえばラブライバーですかね。
当時はTwitterもちょうど始めたくらいの頃。アニメ関連の情報を見ていると俄かに聞こえてくる「ラブライバー」なるオタク達。
当時「ラブライバー」は「過度な武装をしたオタク達で、集団で奇声を上げながら暴れまくる」という悪名高い厄介オタクの呼称として有名になっていました。
私も当然彼らにいい印象は持てず、「くわばらくわばら、近寄らんとこ…」と遠巻きに見ていました。

そんなある日、私は人生で初めてアニメのイベントに行くことになります。
けいおん!』のラジオ番組である、「『らじおん!』の公開収録」です。
この『らじおん!』は既に配信終了していましたが、アニメ5周年記念だかで1度限りの復活を果たし、その公開収録に幸運にも行けることになったのです!
これが私が参加できた『けいおん!』唯一のイベントになりました。

当日、ワクワクドキドキしながら一緒に行く友人と会場に向かう道すがら、会場付近で明らかに別種類のオタク達が歩いているのをちらほらと見かけました。
それを見た友人が、

「そういえば今日、『ラブライブ!』のライブが近くであるらしいよ」

と教えてくれました。

「え、”あの”ラブライバー??」
「うん、”あの”ラブライバー
「うわぁ…まじか初めて見た」

というような会話をしたのを覚えています。
そう、偶然にも私たちの会場とほど近い場所で『ラブライブ!』のライブ(後にそれが3rdライブだったと知る)が開催予定だったのです。
この時は”厄介な人たち”という認識以上の関心は持てず、チャラチャラした格好の人達を横目に会場へと向かいました。(イベントは当然、最高に楽しかった)

そんな感じで当時の私の『ラブライブ!』への印象はすこぶる悪く、依然として私の中で「オタクへの偏見」が強く残ったままでした。

《アニオタ先輩との出会い》

先程もちょっと触れた、日笠陽子さんも来てくれた某バイト先でのこと。
そのバイト先では大ベテランのパートさん(いうてもまだ当時20代後半の女性)がいて、その人は生粋のアニオタでした。
ある日、そのアニオタ先輩から突然、
「ねぇ、”スクフェス”って知ってる?」
と声を掛けられました。
私が知らない、と答えると先輩が説明してくれます。

・”スクフェス”とは『ラブライブ!』のスマホゲームである
音ゲーである
・先輩は”にこちゃん”というキャラが推し
・今度『ラブライブ!』のライブにも行く。
・『スノーなんちゃら』って曲でサイリウムを白からオレンジにする所があって、それを見るのが楽しみ。

先輩の前で口が裂けても

「あの悪名高いラブライバーですか?知ってますよ!」

なんてことは言えるわけもなく、
「へぇ~…『すのーなんちゃら』、見れるといいですねぇ」
と合わせるしかありませんでした。が、ぶっちゃけあんまりよく分かってませんでした。
何しろ、ラブライバーが厄介」ということ以外どんなアニメなのかも全く知ろうとしたことがなかったからです。

「でも、先輩のような人がハマるならコンテンツ自体はそんなに悪いものではないのかもしれない…食わず嫌いは良くないな…先輩との話のネタにもなりそうだし…」

そう思った私は、先輩が薦めてくれた”スクフェス”というゲームをインストールするのでした。そしてこれが私と『ラブライブ!』の出会いのきっかけとなったのです。

《気付けば底なし沼に頭を突っ込んでいた》

ラブライブ!』の知識がゼロの状態でスクフェスをダウンロードし(最初のキャラ選択は絢瀬絵里を選んだ気がする)、プレイをしてみるも音ゲーというものをこれまで殆ど触ってこなかった私は初期の方の曲のHARDですらまともにクリアできないという下手くそっぷりで大いに躓きました。

↑ 私のTwitter上で”ラブライブ”という単語が初登場した、記念すべきツイート。脱字ってますが。

私が触ったことのある音ゲーといえば、『けいおん!』の『放課後ライブ!』というPSPのゲームくらいで、しかも『けいおん!』は曲を知っているからこそ、それなりに出来ていました。音ゲー初心者が曲も知らないまま挑むのは無謀なのでは?そう思った私はまず曲を知るところから始めようと検索をかけました。
すると出てきたのはYouTubeに上げられた公式MV。
「え、MVとかあんの!?」
まずそこにびっくり。試しに見てみて更にびっくり。

めっちゃヌルヌル動くじゃん…。

けいおん!』の時もそうでしたが、どうやら私は「アニメのMV」というものに弱いらしいです。というのも当時はアニメに対する知識が薄く、「アニメってこんなことまで出来るんだ…」という衝撃があったからだと思います。あと単純に元々J-POP畑の人間だったので、MVを見るのに慣れている?肌に馴染む?というのはあるかもしれません。MV見るの結構好きなので。
その時見たのが確か、『もぎゅっと”love”で接近中!』のMVだったと思います。
フリフリのメイド衣装がとても可愛らしく、ダンスシーンもヌルヌル動く。MV風にストーリー性もある感じ。本物のアイドルと変わらんじゃん…アニメってすげぇ。
その他に公開されていたMVも次々と見ていき、初期のMVからも明らかに技術が成長してるのが感じられ、その成長力にも驚かされました。

いつしか私は、「曲を知るため」ではなく「キャラクターたちのことを知りたい」という方向に意識がシフトしていき、アニメの方にも手を出しました。
そう、それが運の尽きでした。

アニメ1話のラスト、主人公の穂乃果が
「だって可能性感じたんだ そうだ…ススメ~」
と歌い出した瞬間、


なんだこれ、歌がうますぎる。


その第一声の歌声に私の心は完全に持って行かれてしまったのです。

そこから3話で園田海未ちゃんの笑顔にラブアローシュートで射止められ、この話の中で描かれる「μ's*1のファーストライブ」の余りに現実的すぎるストーリー展開にすっかり魅了され、転がるように私はラブライブ!』という底なし沼にハマっていきました。
Twitterの記録を見ると1日もかからずアニメ1期全話制覇した模様)

3話「ファーストライブ」より。守りたい、この笑顔。


あ、『ラブライブ!』を知らないという方向けに簡単に説明をしておきますと、

・2010年にG'sマガジンという読者参加型の雑誌企画から生まれたコンテンツ
・【みんなで叶える物語】をテーマに、グループ名を公募したり、次のシングルのセンターを決める「総選挙」なる人気投票企画を行ったりしていた
・アニメのあらすじは、「3年後に廃校が決定した母校を救うべく、”スクールアイドル”を立ち上げて活動することで、入学希望者を増やし廃校を阻止しようと奮闘する9人の女子高校生の物語」である
・オールメディアミックス作品のため、キャラを演じる声優さんがそのまま「μ's(ミューズ)」というグループとしてライブ活動等をしている

というのが大まかな概要。

しかし私がハマった時は、アニメ1期も終わり4thライブが終わった後。またしても一足遅かったか…あぁ、あの3rdライブの時に散々色眼鏡で見て悪口を言っていたツケが回ったんだ…と後悔をしていました。
でもそれは杞憂でした。2か月後に2期が始まるという嬉しい事実を知ったからです。
そして私は晴れて「アニメをリアルタイムで追う」という実績を解除することになりました。

また、『ラブライブ!』はアニメだけでなく声優さんによる活動も精力的で、『2.5次元コンテンツ』という部分をウリにしているコンテンツでもありました。MVで見たキャラクターたちのダンスを声優さんがそのままライブで踊って披露する…今となってはこういった形態のコンテンツは珍しくありませんが、こういった2次元と3次元が融合するような形態は、当時ではかなり斬新かつ衝撃的で他にはない魅力がありました。
というか『ラブライブ!』の人気はどちらかというとこのキャスト陣によるニコ生放送やライブ活動などの精力的な活動によって支えられている面が大きかったように思います。それだけ、キャスト陣のコンテンツにかける想いは熱く、情熱をかけているのが伝わってきました。

私の『ラブライブ!』へのハマり方は尋常ではありませんでした。
生放送などは必ずチェックし、CDやBDや関連書籍やグッズも買い集め、スクフェスもやり込んで教えてくれた先輩のレベルをあっという間に追い越し、ニコニコ生放送スクフェスをプレイすることで多くのラブライバーと繋がり、翌年の5thライブには両日現地参戦しました。アニメのライブに行くのは初めてでしたが、ライブという空間には行き慣れていたのでオタク特有のコールという文化やブレードの振り方の文化にもすぐに順応していきました。
同年に開催されたファンミーティングツアーでは、北は北海道、南は愛知まで全国5か所8公演に参加し、更にその時公開された劇場版は30回以上映画館に足を運びました。
μ'sはこの年、Mステや紅白歌合戦にも出演する等まさに社会現象、飛ぶ鳥を落とす勢いで駆け抜けていきました。まるで最後の青春を謳歌するように。思い出作りをするかのように。

振り返ってみるとこの2015年が人生で一番楽しかった、と今でも感じます。
それだけ自分も周りも活力と熱気に溢れ、誰もが同じ場所を目指して全力で走っていました。
好きになって分かったのが、「厄介ラブライバーと言われるような人たちはごく一部で、その他大勢のラブライバーちゃんとしたオタクだということでした。みんな自分の「好きな気持ち」や「推し」に対して全力で愛を叫び、『ラブライブ!』というコンテンツを心から愛している。とにかくファンの熱量が尋常じゃないんです。
そんな熱い仲間と共にコンテンツを追いかける日々はとても楽しく、充実していました。
キャスト陣もインタビューなどで語っていましたが、私にとってμ'sと過ごした日々はまさに「第三の青春」でした。

しかしそんな日々は突如として終わりを告げます。

2015年の12月5日。忘れもしないあの日。
録画配信された「特別番組」で、μ'sの「ファイナルシングルの発売」と「東京ドームでのファイナルライブの開催」が発表されたのです。
それは実質、μ'sの活動が一区切りするというおしまいの知らせでした。

《コンテンツの最期》

2016年3月31日、4月1日。
東京ドームで開催されたμ'sのファイナルライブ。
応募シリアルの付いたBDを4枚積んで全て落選した私は、周囲の人のおかげで奇跡的に両日現地でその時を迎えることができました。
最後まで諦めなかったのは、『けいおん!』の時の後悔があったから。このライブの現地に参加できなければ一生後悔すると思ったから。
どんな手段を使ってでも、必ず現地でμ'sのファイナルを見届けたい──協力してくれた人達には今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、このライブほど号泣したライブは後にも先にもありません。
1stシングルは発売当初、約430枚程しか売れなかったという『ラブライブ!』。
最初は誰にも見向きもされなかったμ'sが、東京ドームという場所で満員の5万人の前で最後のライブをする。
まさに【みんなで叶えた物語】になったのです。

ラブライブ!』を知る前は「すのーなんちゃら」と言っちゃうくらい何にも知識がなかった私。
この日東京ドームの屋根までも燃やすかの如くオレンジ一色に染まった『snow halation』の景色は、一生忘れないと思います。

 


4月1日、本当に最後の最後の挨拶が終わりドームを出ると、予報には無かった土砂降りの豪雨が地面を叩きつけていました。涙雨。そうぼんやりと思いました。

この日のことは今思い出しても、視界が滲みます。何ならこれを書きながらちょっと泣いてます。
自分の好きなコンテンツの”最期”を見届けるのは、こんなに辛いものなのか。アニメにハマる前の自分では想像も付かなかった出来事でした。
けいおん!』の時は明確な区切りがなかった。だからある意味まだダメージは少なかったんだと思います。けれど、これだけ完璧に「終わり」だと見せ付けられてしまったら。この情熱は一体どこへ向ければいいのでしょう。
私がリアルタイムで追えたのは、たったの2年間。だけど、人生で最も濃厚な2年間でした。これからも、一緒にもっともっと光を追い続けられると、そう思っていました。もっとたくさんの夢を「みんなで叶えていける」と、そう信じていたのに。

この日以来、私の心には大きな穴がぽっかりと開いてしまい、文字通り空っぽになってしまいました。
何をしても楽しくなく、ふとした瞬間に勝手に涙が流れてくるような状態。
μ'sの曲も半年以上まともに聴くことが出来ませんでした。
今でもまともに聴けない曲がいくつかあります。聴くと泣いてしまうから。
それくらいμ'sは私にとってあまりにも、大きな大きな存在になっていました。


μ'sの活動に一区切りついてからは、μ'sに代わって情熱を向けられるものを探すように色々なコンテンツに手を出してみました。μ'sキャストさんの個人の活動を追ってみたり、ライブに行ったりアニメを観たり…。でもやっぱりμ'sの時ほど夢中にはなれず、長続きしませんでした。

《心の充電期間》

ファイナルライブから約一年が経った頃。
ラ!時代に仲良くしていた人たちがこぞって『バンドリ!』のスマホゲーム、通称”ガルパ”にハマり、その流れで私もガルパを入れて遊び始め、アニメも見て、ライブにも行くようになりました。その頃は仲良しの人達がたくさん周りにいたこともあり、『ラブライブ!』の延長線上にいるような気持ちで楽しくオタ活をしていました。
結果的に『バンドリ!』へのモチベーションは、好きだった声優さんの「芸能界引退」というショッキングな出来事により次第に薄れていき、周囲の人達のモチベ低下と共にコンテンツから離れることになるのですが、この『バンドリ!』にハマったことで、私の心に開いた穴も、無くなりはしませんが少しずつ小さくなっていったのを感じました。私にとってはいい充電期間になってくれたのだと思います。

そして『バンドリ!』との出会いが、私を次の”舞台”へと進ませてくれた、あるコンテンツとの出会いへと繋がっていくのでした。



<続く>

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*1:主人公・高坂穂乃果が立ち上げたスクールアイドルのグループ名。名前は雑誌の企画で公募され、選出された。名前の由来は、9人の音楽の女神「ミューズ」より付けられた。